著者/出口輝夫さん
原子爆弾はどうして爆発するのですか
何故、原子爆弾が造られたのですか
2005年の初版本から増補改訂を加え再版。核爆発のメカニズム、開発の歩み、投下までの経過、被爆状況あらゆる角度から原爆を研究。
長年、原爆の語り部としてもご活躍ですが、そもそものきっかけは?
私の妹の夫が熱心な平和運動家で定年後に執拗に勧誘されまして。(笑)語り部を始めると、子ども達の色々な質問に驚かされて被爆者でありながら、原爆のことは何も知らないことに気づかされました。
被爆体験講話は、学校の平和学習の一環だから、いい加減な説明はできないと思い核分裂の原理から開発・投下に到った経緯を調べたのがきっかけです。
初版を2005年に出版されていますが、反響はいかがでしたか?
そうですね、たくさんのお便りをいただきました。「被爆体験の本は多いが、原爆のことを分かりやすく書いた本があまりなかったので、助かります。」とか、「系統だてて、時系列に説明されていて、分かりやすかったです。」など、嬉しかったですね。
今回の増補・改訂のポインは何ですか?
初版本から2年間で私たちを取り巻く環境が激変しつつあるように思います。昨年、北朝鮮がミサイルを発射し、核爆発実験に成功したと発表し、わが国の閣僚が「迎撃ミサイルを開発すべきだ」、「核保有を論議すべきだ」などと発言しました。私は、これ以上の税負担は御免だと痛切に感じています。
また、有事法制、防衛庁の「省」昇格、国民保護法、憲法改正を目指す国民投票法など、戦争をしない国から戦争のできる国へ変貌しようとしています。国民保護法の下に、各地方自治体に内閣官房がまとめた『武力攻撃やテロから身を守るために』という一文に基づいて住民の保護計画の立案を求めていますが、被爆体験者からみると、一文そのものが余りに馬鹿げています。一般国民も原爆の本当の脅威を知っておかなければ、対応のしようがないですね。
対応策は、憲法9条の「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求して、国際紛糾を解決する手段としての武力を永久に放棄する」という規定を旗印として平和外交に徹して、近隣諸国と仲良くして戦争や紛争に巻き込まれないように努力す ることだと思います。
トレードマークのハンチング帽をかぶっていらっしゃった出口さんは、原爆を通じて、私たちが今何をすべきか熱く語っていただきました。